政府が年末までに「AXの具体像」と建設の人手不足対策をとりまとめへ 企業がいま準備できること

この記事の要点

  • 10月1日の日本成長戦略会議で、建設分野の人手不足について、年末までに政策パッケージをまとめるよう首相が指示しました。
  • あわせて、AIで社会全体を動かす「AX」の具体像、規制・制度改革の原則、社会実装のアクションプランも年末までにまとめる方針です。
  • 具体策はこれからですが、企業は自社の業務の「判断」を棚卸しし、手元のデータで小さく試す準備を、いまから進められます。

2026年10月1日、首相官邸で第8回の日本成長戦略会議が開かれました。高市首相は、建設分野の人手不足を解消するための検討と、高性能なAIを社会に実装するための取りまとめを、いずれも年末までに行うよう関係閣僚に指示しました。この記事では、公開された資料と報道をもとに、何が決まったのかを整理し、DX・AXを進める企業にとっての意味と、いまから準備できることを解説します。

10月1日の日本成長戦略会議で決まったこと

会議は10月1日の16時45分から17時30分まで、首相官邸で開かれました。議題は、「日本成長戦略実行計画」の策定、当面の検討課題、そして『「強く豊かな日本」投資枠』における特別会計の3つです。首相官邸が公開した首相の発言のうち、DX・AXに関わる指示は、次のとおりです。

  • 建設分野の人手不足:尾﨑官房副長官の下に、国土交通省と経済産業省を中心とする「政府横断の検討の場」を設け、年末までに具体的な政策パッケージをまとめる。
  • 高性能AIの社会実装:古川大臣が赤澤大臣・中司大臣と共に、年末までに3つをまとめる。信頼できるAIで社会全体を駆動する「AXの具体像」、AXに対応した規制・制度改革を進めるための原則、社会実装を加速するためのアクションプランである。
  • 日本成長戦略実行計画:年末までに策定し、今後5年間の国内投資の道筋を示す。複数年度にわたる大規模な支援のために、特別会計を設ける。

共同通信の報道によると、首相は2027年度からの5年間を集中投資期間と位置付け、必要な予算額などを盛り込んだ計画を年内にまとめる考えを示しました。

なぜ注目されるのか:「AX」が政府の取りまとめの言葉になった

今回の指示で目を引くのは、「AX」という言葉が、首相の指示の中で取りまとめの対象として使われたことです。DXがデジタル技術で業務や事業を変えることを指すのに対し、AXは、AIを前提に業務や組織、社会の仕組みそのものを組み替えていくことを指して使われる言葉です。年末に示される「AXの具体像」と「規制・制度改革の原則」は、企業がAIを業務に組み込むときの前提や、ルールの方向性に関わる可能性があります。

もう一つは、建設分野の人手不足が、成長戦略全体の課題として扱われている点です。内閣官房が配布した資料「当面の検討課題(案)」では、投資環境の整備の一つとして「建設供給力不足への対応」が挙げられています。建設分野などの労働力不足は、今後の成長投資のボトルネックとなり得る、という整理です。工場やデータセンター、インフラへの投資を進めようとしても、それを建てる人が足りなければ前に進まない、という構図です。

建設の現場で、AIが支えられる「判断」

人手が足りない現場では、作業そのものに加えて、段取りや確認のための「判断」に多くの時間が使われています。たとえば、遅れそうな工程を見極めて人を回す判断、空いている職人を探して手配する判断、大量の現場写真から確かめるべきものを選ぶ判断、危ない作業を先に見つける判断などです。

こうした判断は、ベテランの経験に頼りがちで、担当者が限られるほど負担が集中します。クラスフォックスでは、判断だけをAIが受け持つ Vertical Decision AI SaaS を活用構想として設計しています。建設・施工の現場向けには、工程遅延AI、職人配置AI、写真検査AI、現場安全AIなどがあります。AIは候補と確信度を示し、最終的な判断は現場の担当者が行う形です。

年末に示される政策パッケージで、建設分野のAI活用にどのような支援や制度の見直しが盛り込まれるかは、まだわかりません。ただ、人手不足を補う手段としてAIを位置付ける流れは、今回の指示からはっきり読み取れます。

年末の政策パッケージを待たずに、企業が準備できること

具体策が出そろうのは年末以降ですが、AIを業務に入れる準備の多くは、制度の中身に関わらず進められます。

  1. 業務の「判断」を棚卸しする:毎日・毎週くり返していて、担当者が迷う時間の長い判断を書き出します。
  2. 判断の材料になるデータの置き場所を確かめる:工程表、日報、写真、発注の記録などが、どこに、どの形で残っているかを確かめます。
  3. 小さく試す範囲を決める:一つの現場や一つの業務に絞り、手元のデータで数週間試せる範囲を決めておきます。
  4. 制度の動きを追う:年末の政策パッケージ、AXのアクションプラン、日本成長戦略実行計画で、補助や規制の見直しがどう示されるかを確かめます。

業務の判断を一つずつAIに任せていくことは、政府が示そうとしているAX(AIトランスフォーメーション)を、自社の現場で具体化することでもあります。制度が整うのを待つのではなく、どの判断から任せるかを先に決めておくことが、支援策を活用するときの近道になります。

今後の予定

  • 年末まで:建設分野の人手不足について、政府横断の検討の場で政策パッケージをとりまとめ
  • 年末まで:AXの具体像、規制・制度改革の原則、社会実装のアクションプランをとりまとめ
  • 年末まで:日本成長戦略実行計画を策定(報道では、2027年度からの5年間を集中投資期間と位置付け)

@DX では、これらの取りまとめが公表されたら、業界ごとの影響とあわせて解説します。

よくある質問

今回の会議で、建設業向けの補助金や新しい制度が決まったのですか

決まっていません。今回は、年末までに具体策をまとめるよう首相が指示した段階です。政策パッケージの中身は、国土交通省と経済産業省を中心とする検討の場でこれから詰められます。

「AX」とは何を指していますか

首相の指示では、信頼できるAIで社会全体を駆動する姿として「AXの具体像」をまとめるとされています。具体的な中身は、年末に向けて取りまとめられる予定です。

中小の建設会社は、いま何から始めればよいですか

担当者が迷う時間の長い判断を一つ選び、その判断に使っている工程表や日報、写真などのデータがどこにあるかを確かめることから始められます。そのうえで、一つの現場に絞って数週間試せる範囲を決めておくと、支援策が示されたときに動きやすくなります。

出典

本記事は、公開された情報をもとに @DX 編集部がまとめた解説です。内容は記事の公開時点のものです。最新の情報は各出典をご確認ください。

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