昨今、「NoCode」というワードが世界的なトレンドになってきています。システム開発、アプリケーション開発の効率化はこれまでも求められて来ましたが、NoCodeツールが出始めたことで高速化・効率化が更に加速するようになりました。そのようなNoCode開発について、市場動向予測、導入企業の事例をここでは紹介したいと思います。
NoCode開発とは
NoCode開発とはコードを書かないで、素早くアプリケーションを開発する手法のことです。
ここ数年で業種を問わず、DX(デジタルトランスフォーメーション)化の実行が要求され、移り変わりの激しいビジネス要件への対応策として、開発手法に変革が求められるようになりました。
コードをできるだけ書かないLowCode化は少し前からも出始めていましたが、最近ではコードを全く書かない開発方法としてNoCodeというワードが使われる様になりました。
その勢いはグローバルで進行していて、ビジネスに直接かかわることも多いため、このトレンドは企業の将来を左右することにもなるでしょう。NoCodeツールの多くはクラウドにつなげるだけで利用できるので、現在のアフター、ウィズコロナの在宅勤務とも親和性があります。
これまでのアプリ開発の課題
NoCode開発の利点を語る前に、これまでの開発手法の課題を考えてみましょう。
これまで、アプリを作成する手法としては、外注する方法と社内で開発する方法の2種類がありました。前者は仕様の説明から見積もり、実際の開発・運用までに長い時間とコストがかかります。また、運用開始後に細かく調整することも困難で、現場の課題を完全に解決するのは難しいでしょう。
では一方で後者の方法を取ればいいかというと、一概にはそうは言えません。というのも、その場合は社内のエンジニアが現場の要望に合わせたアプリを開発することになりますが、現場の要望を実現できるエンジニアが社内にいるとは限りませんし、そもそもリソースが十分に足りていないケースも多いです。
米国トヨタがNoCode開発ツールで現場改善を実現
実際にNoCodeツールを使って大幅に業務を改善した例として米国トヨタがあります。
米国トヨタでは、中古車として販売される自動車のアクセサリーが適切に取り付けられているか、顧客の手に渡る前の出荷前チェックが求められていました。
https://www.publickey1.jp/blog/20/rpaignite_2020.html
しかし現実には、出荷される中古車の10%以下にしかチェックが行われていないという問題を抱えていたのです。
問題を引き起こしている 原因の1つが、企業内ネットワークに接続されたPCのWebブラウザでしかチェック項目を確認し結果を入力できない業務用アプリケーションにありました。
そこで同社はマイクロソフトのローコード/ノーコード開発ツールのPower Appsでモバイルアプリケーションを開発。モバイルワーカーが現場で簡単にチェック用アプリケーションを参照できるようにしました。
このアプリはマイクロソフト社のPower Appsを使って開発されたということもあり、マイクロソフト社によって大きく紹介され、話題となりました。
このように今やNoCodeでの開発は資産力のないベンチャー企業だけに限った話ではなく、資産力を持つような大企業でも積極的にNoCodeでの開発を取り入れているような動きが感じられます。
NoCode開発が今選ばれる理由
今や企業にとって、経営だけをすればいいということではなく、経営レベルと同等以上に現場レベルでのDX化が求められています。
実際に、「企業IT動向調査報告書 2020」でも、IT投資で解決したい中期的な経営課題の第1位が「業務プロセスの効率化(省力化 業務コスト削減)」、第2位が「迅速な業績把握、情報把握(リアルタイム経営)」という調査結果が出ています。
そうした現場レベルでのDXを進めるには、アプリの導入によって業務を効率化する取り組みが有用です。
そこで期待されているのが、NoCodeです。現場に合ったアプリを現場で自ら作成・活用できるため、ツールが浸透しやすく、スムーズに業務のIT化と効率化を実現できます。
もちろん現場でDX化が進んでいないことは今に始まったことではありませんが、これまで簡単に解決できない問題でした。それが、今やアプリ作りは時間とお金のかかることではなく、アイデアさえあれば実現できる世の中になってきているのです。