候補者選びをAIが支える「候補者AI」の活用シーン

この記事の要点

  • AIが、求人と候補者の相性をマッチスコア(相性の目安)として判断し、担当者が見極める順番を示します。
  • 職務経歴書を一件ずつ読み比べる作業から、相性の目安を見て担当者が会うべき人を見極める進め方に変わります。
  • 採用管理システムから出したCSVで始め、3〜8週のPoCで、候補者選びの所要時間などを測ります。

候補者AIは、求人の条件と候補者の経歴を突き合わせ、どの組み合わせの相性がよいかをマッチスコアとしてAIが判断するしくみです。採用担当者は、そのスコアを手がかりに、会うべき候補者を見極めます。本記事では、採用現場で起きていること、AIが判断すること、導入後の1日、任せる範囲の決め方、小さく始める手順を順に紹介します。

候補者探しで起きていること

多くの採用現場では、担当者が職務経歴書を開き、求人票と見比べながら候補者を探しています。応募が増える時期や、複数の求人を同時に担当する時期には、読み比べる作業だけで一日が終わることもあります。

読み比べには、もう一つの難しさがあります。職務経歴書の書き方は、人によって大きく異なります。同じ経験でも、表現が違うために見落とされる候補者がいます。反対に、肩書きや企業名の印象に引きずられ、求人との相性を十分に検討しないまま話が進むこともあります。

さらに、判断の基準が担当者ごとに異なる点も課題です。ベテランの担当者は、経験にもとづいて相性を見抜きます。しかし、その見立ては担当者の頭の中にとどまり、チームで共有しにくいという問題があります。

その結果、担当者は忙しい時期ほど、手元の候補者を順に確認するだけになりがちです。本来は、候補者と話し、希望や適性を見極める時間に力を注ぎたいはずです。

これまでの職務経歴書の読み比べと、候補者AIのあとのスコアを見て見極める進め方を左右に並べた比較図
図1:担当者が経歴を読み比べる作業から、スコアの理由を見て見極める進め方に変わります。

候補者AIが判断すること

候補者AIが判断するのは「マッチスコア」です。判断のパターンでいえば「組み合わせ」にあたり、「何と何を組み合わせるか」という問いに答えます。ここでは、求人と候補者をどう組み合わせると相性がよいかを判断します。

Decision AI は、文章を生成するのではなく、業務の判断だけを確率と確信度つきで返すAIです。この業務では、次の3つの型で答えを返します。

答えの型この業務での問い
はい/いいえこの候補者は、この求人の必須条件を満たしているか
どれを選ぶか複数の求人のうち、この候補者に最も合う求人はどれか
どの程度かこの候補者と求人の相性は、どの程度か(マッチスコア)

スコアは、合否を決めるものではありません。担当者が候補者を見る順番と、確かめるべき点を示す目安です。最終的な判断は、人が行います。

導入後の採用現場の1日

たとえば、複数の求人を同時に担当する、人材紹介の部署を考えてみます。

朝、採用担当者は画面を開き、担当する求人ごとに、候補者がマッチスコアの高い順に並んでいる様子を確認します。各候補者には、スコアの理由として、求人の条件と合う経験が示されています。担当者は上から順に、理由を読みながら連絡する候補者を選びます。

日中、担当者は選んだ候補者と面談します。経歴の読み比べに費やしていた時間が減るため、希望や転職の背景を聞く時間を長く取れます。面談で分かった内容は、システムに記録されます。

夕方、チームのリーダーは、その日のスコアと面談の結果を見比べます。スコアが高かったのに合わなかった例や、スコアが低くても合った例を共有し、次の週の判断に生かします。担当者ごとに異なっていた見立てが、チームで話し合える材料になります。

朝、日中、夕方の3つの時間帯で、採用現場の仕事の流れを順に示した図
図2:朝から夕方までの流れ。AIのスコアを見て、人が見極めます。

AIに任せる範囲をどう決めるか

AIの答えには確信度が付きます。この確信度で、どこまでをAIに任せ、どこからを人が判断するかを定めます。

確信度の0%から100%の目盛りを、70%未満、70から95%、95%以上の3段階に分け、それぞれの任せ方を示した図
図3:閾値はPoCで検証して決めます。最終的な合否は人の承認を前提にします。
  • 確信度95%以上:必須条件を満たしているかどうかなど、条件が明確な判断です。AIが処理し、候補者の一覧に反映します。
  • 確信度70〜95%:スコアの高い候補者への連絡など、担当者の確認が必要な判断です。担当者が理由を読んで決定します。
  • 確信度70%未満:経歴が特殊な候補者や、経験の少ない職種への転職など、データが少ない判断です。リーダーや専門の担当者が判断します。

閾値(しきい値)は最初から決め打ちにせず、PoC(本格導入の前に効果を確認する試行)で検証して定めます。はじめは、すべての候補者を担当者が確認し、AIの判断と人の判断がどの程度一致するかを見てから、任せる範囲を広げるのが安全です。

採用は、人の人生に関わる判断です。そのため、最終的な合否は、必ず人の承認を前提に設計します。AIは、判断を代わりに行うのではなく、担当者が見極める時間を確保するために使います。

小さく始める手順

いま使っている採用管理システムは入れ替えません。AIは、システムの上にのる「判断レイヤー」として入り、まずは手元のCSV(表計算で扱えるデータ形式)から始められます。

データの用意、机上で比べる、指標を測る、目標を決めるの4つの手順を矢印でつないだ図
図4:既存のシステムはそのままに、3〜8週のPoCで一つずつ検証して進めます。
  1. 採用管理システムから、過去の求人と候補者の情報、選考の結果をCSVで書き出します。対象は、一つの職種に絞ります。
  2. AIが出したマッチスコアと、担当者の見立てを机上で比較します。この段階では、実際の選考には使いません。
  3. 見立てが一致する範囲を確認し、実際の候補者選びで使いながら、指標の変化を測ります。

PoCの期間は、3〜8週が目安です。期間中は、次の5つの指標を測ります。

  • 候補者選びにかかる時間
  • 面談に進んだ候補者の割合
  • 面談から選考通過に至った割合
  • 担当者ごとの見立てのばらつき
  • 候補者への初回連絡までの日数

目標とする値は、PoCの前に現状を測ってから、現場と一緒に定めます。業務の判断を一つずつAIに任せていくことが、AX(AIトランスフォーメーション)の現実的な一歩です。クラスフォックスの Vertical AI SaaS は、初期費用0円・月額10万円(税別)から、1業務単位で始められます。

人材・採用の判断を支えるほかのAI

採用の現場には、候補者選びのほかにも、判断が必要な場面があります。たとえば、求人から候補者を探す「求人マッチAI」、応募書類の確認を支える「書類選考補助AI」、面接での見極めを支える「面接AI」などです。どの判断から始めるかは、担当者が迷う時間の長い業務から選ぶのが近道です。

よくある質問

いま使っている採用管理システムは入れ替える必要がありますか

入れ替える必要はありません。AIは判断レイヤーとして既存のシステムの上にのり、まずは書き出したCSVから始められます。

AIが合否を決めるのですか

いいえ。マッチスコアは、担当者が候補者を見極めるための目安です。最終的な判断は、人の承認を前提に設計します。

どのくらいの期間で試せますか

PoCは、3〜8週が目安です。週ごとに結果を確認しながら、進め方と任せる範囲を一緒に決定します。

トップ画像の写真:Photo by No Revisions on Unsplash

本記事で紹介する活用シーンは、クラスフォックスが設計した活用構想です。効果は、貴社のデータを使ったPoCで確かめます。

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