世界から見ると、日本はIT化やデジタル化があまり進んでおらず、IT後進国と言われています。
しかし、日本の中でもDX推進におけるIT化やビジネスモデル、ビジネスソリューションを変革・改革し、成功している企業が増えてきているのも事実です。
DXを推進させるためには、システム開発やITツールの導入などに資金が必要になりますが、成功している企業はどのように資金調達を実施しているのでしょうか。
今回は、そのような疑問を抱く企業や経営者に向けた内容の記事となっています。
DX関連の資金調達を実施している会社5選
DXの推進に関わらず、会社を運営していく上で資金調達は必要不可欠です。
銀行からの融資や個人投資家からの出資など、資金調達には様々な方法がありますが、外部から調達する場合がほとんどです。
今回は、DX関連の資金調達を実施している会社の事例を基に、DXにおける資金調達について解説していきます。
事例を見る前に、資金調達方法の種類や方法について知っておきたいという方は、以下の表をご参照ください。
種類 | 内容 | 具体的な方法 |
---|---|---|
デッドファイナンス | 銀行借入、債券発行などの負債 | ・銀行、日本政策金融公庫、自治体などからの融資 ・家族、知人からの借入 ・ビジネスローン など |
アセットファイナンス | 会社の持つ有形・無形の資産を売却 | ・ファクタリング |
エクイティファイナンス | 株式の交付と引き換えに出資を受ける | ・個人投資家からの出資 ・ベンチャーキャピタルからの出資 |
Fabeee株式会社
DXコンサルティング会社である「Fabeee株式会社」。
少数精鋭のプロフェッショナルチームでDX支援サービスを行う「Fabeee DX」や、クラウド上で開発が行えるリモート開発サービスの「Fabeee Anyplace」などを提供しています。
これまでに、サービスや資金調達などについて取り上げたメディアは、Forbes JAPANや日経クロステックアクティブ、BRIDGEなど多数。
2011年4月にSES事業を開始し、コロナウイルスが広まる3年以上前からFabeee Anyplaceの運用実績があるなど、安心感のある企業です。
Fabeee株式会社のDX関連の資金調達について
エクイティファイナンスにて資金調達を行っています。
取引先は、株式会社マイナビ、basepartners、データセクション株式会社など。
社会やクライアントの変化に迅速かつ的確に対応できる体制を強化する目的で、総額1.1億円の資金調達を完了しています。
コロナウイルスの影響で企業のDX化の需要が加速していることから、今後もさらに企業の「DXコンサルティング」事業のニーズが高まると推察されます。
SORABITO株式会社
建機のレンタルをオンライン注文できるアプリの開発など、建機と現場とつなぐ仕組みづくりを行っている「SORABITO株式会社」。
2014年に創業してから、Infinity Ventures Summit Fall Kyoto 2016 優勝などの受賞歴や、東洋経済「すごいベンチャー100」に選出されるなど数々の実績があります。
自社が提供するALL STOCKERは、国内最大級の建機掲載数のECサイトで国際取引も可能です。
SORABITO株式会社DX関連の資金調達について
GMO VenturePartners、マーケットエンタープライズ、株式会社DG Daiwa Venturesなどの投資家からエクイティファイナンスにて資金調達を実施しています。
創業以来の累積資金調達額は、約26億円。
年間建設投資額60兆円でありながら、「長時間労働の是正」や「100万人規模の離職」などの問題が発生している建築業界では、DX推進が欠かせません。
業務効率化や人手不足解消に繋がるSORABITO株式会社のサービスは、今後の建築業界を大きく変えるきっかけになると期待されています。
Okage株式会社
「Okage株式会社」は、飲食店向けにモバイルオーダーやセルフレジ、モバイルPOSなどを提供する企業です。
2009年に設立した歴史ある企業で、「B-R サーティワン アイスクリーム株式会社」や、塚田農場・四十八漁場などを運営する「株式会社エー・ピーカンパニー」など、様々な企業で提供しているOkageシリーズが導入されています。
Okage株式会社のDX関連の資金調達について
これまでに実施した資金調達は、総額5.5億円。
KDDI株式会社などからエクイティファイナンス、株式会社商工組合中央金庫などからデットファイナンスにて資金調達を実施しています。
食農バリューチェーンの最終消費額の約3割を占める重要な産業である外食業界は、人手不足とコロナウイルスの影響をダイレクトに受けています。
Okage株式会社が提供する「Okageシリーズ」を発展させることで、外食産業のDX化による課題解決と、食品流通の効率化が進展が期待できます。
WealthPark株式会社
不動産管理会社向け業務効率化・管理支援ツール「WealthPark Business」を提供している「WealthPark株式会社」。
不動産投資や管理ができるアプリの開発なども行っています。
これまでにWealthParkビジネスを利用した不動産管理会社は約80社以上。
不動産オーナーアプリでシェアNo1を獲得(株式会社日本マーケティングリサーチ機構が実施した市場動向調査にて)するなど、確かな実績を誇ります。
WealthPark株式会社のDX関連の資金調達について
エクイティファイナンスとデットファイナンスにて、累計43億9800万円もの資金調達を実施しています。
取引先は、JICベンチャー・グロース・インベストメンツ、SBIインベストメント株式会社、株式会社あおぞら銀行、株式会社日本政策金融公庫など。
電子契約へ「移行したい」不動産事業者は83%(不動産テック7社・1団体 共同企画による不動産業界のDX推進状況調査)という調査結果から、さらなる不動産管理におけるDX化のニーズ向上が推察されます。
株式会社L is B
クラウドサービスの開発、提供及び運営サポートを行っている「株式会社L is B」。
現場業務におけるコミュニケーションのデジタル化(DX)を支援するビジネスチャットの「direct」や、独自AIエンジンを搭載したFAQソリューションの「AI-FAQボット」などのサービスを提供しています。
2010年に設立して以来、感情解析エンジン「Social Emotion Engine」のや、auスマートパスに採用された「Feel on!」などのTwitterアプリなどを開発。
代表作である「direct」は、2,500社以上もの導入実績を誇ります。
株式会社L is BのDX関連の資金調達について
株式会社チェンジ、三菱UFJキャピタル株式会社、イノベーション・エンジン株式会社などからエクイティファイナンス、株式会社日本政策金融公庫などからデットファイナンスにて資金調達を実施。
総額12億3,000万円の資金調達を実施しています。
地方創生におけるDX推進を加速させる際に重要な役割を担うと期待されています。
資金調達でもDX化が進んでいる
今回ご紹介した5社の事例では、エクイティファイナンス、デットファイナンスによる資金調達がほとんどでした。
しかし、2020年以降は資金調達でもデジタル化が進み、新たな資金調達方法が注目されています。
資金調達におけるDX化は主に以下の2つ。
・クラウドファンディング
・セキュリティトークンによる調達「STO」(セキュリティトークン・オファリング)
STOは、有価証券をデジタル化したもので、株式や債券などの有価証券をブロックチェーンで管理してトークンを発行する資金調達方法です。
STOが誕生したことにより、資金調達したい企業は株式上場(IPO)などと比べてスピーディーに資金を調達できるようになっています。
有価証券という資産がある裏付けになるので、投資家にとっても比較的安心して投資の判断ができるシステムです。
まとめ
企業の事業などにもよりますが、DX推進における資産調達は必須と言っても過言ではありません。
どのマーケットにおいてもまだまだ需要が高く、DX推進における出資や融資に理解のある企業や投資家、銀行が多いので、これから資金調達を行う企業も増えてくるでしょう。
クラウドファンディングやSTOがさらに発展・浸透すれば資金調達がスピーディーになり、さらに資金調達がしやすくなる可能性も高まります。
時代背景とマーケットの可能性を把握しつつ、確かな戦略があれば小規模企業でもDX推進における資金調達がしやすくなっていくと推察されます。