飲食店のDX(デジタルトランスフォーメーション)活用

飲食業界とDXの今

様々な業種で「IT化」が進む近年、「デジタルトランスフォーメーション(DX:Digital transformation)」という言葉を頻繁に耳にするようになりました。

DXとは2004年にスウェーデンのウメオ大学のエリック・ストルターマン教授によって提唱された概念で、「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」というものでした。(出所:Information Technology and The Good Life

DXというワードを聞いたことはあるけど難しそう…と思われる方もいるかもしれませんが、あまり難しく考える必要はありません。

実は既に多くの飲食店がDXの一端を担うデジタル技術の活用に取り組んでいると言えます。まずは既に多くの飲食店舗で活用されているサービスをご紹介します。

POS(Points of Sales)

POS(Points of Sales)

登場から60年以上が経つPOSレジは、飲食業界にとってIT化の恩恵を一番イメージし易いデジタルツールかもしれません。

営業後に手作業で行っていた会計作業や在庫管理などの作業時間は、POSレジの普及により大幅に削られました。

飲食店側の作業コストを減らすだけでなく、お客様にとっても良い影響をもたらしています。スピーディーな会計業務による待ち時間の軽減や、打ち間違いによる会計ミスの軽減は、カスタマーサービスの品質向上にも貢献します。

また、会計作業の効率化だけでなくPOSレジで取得したデータをマーケティングに活用することも今や常識となりました。どの商品がどの時間に何個売れたかを把握することで売れ筋商品の傾向や死筋商品の傾向を把握をすることが出来るようになり、メニュー構成や価格設定などの店舗作りにも活用できます。

リアルタイムで販売状況を確認出来ることで、離れた場所からもアクセス可能となり売上を管理する点で非常に有効です。

今後はPOSシステムに蓄積された膨大なデータとAI(人工知能)を活用することにより、販売計画の策定や自動発注などを行ってくれる未来が近づいてきています。

キャッシュレス決済 

キャッシュレス決済

キャッシュレス決済とは現金以外の方法でお金を支払う仕組みのことを指します。

クレジットカードをはじめとして、「Suica」や「PASMO」などの交通系電子マネー、PayPayやLINE PayなどのQRコード決済などキャッシュレス決済の方法は様々です。

現金管理の作業が不要になることは飲食店側の大きなメリットですが、お客様にとっても会計作業の効率化によりストレスなく決済を完了出来るようになりました。また、コロナ禍ではお金に触れるリスクを抑えることにも繋がり関心が高まっています。

政府は2025年までに日本のキャッシュレス決済の比率を現在の20%から40%まで高める目標を掲げています。

キャッシュレス決済を行なった消費者にポイントを還元するという事業、「キャッシュレス・消費者還元事業」が2019年10月からスタートし、今後もキャッシュレス化の流れは進んでいくことになるでしょう。

デリバリーサービス

デリバリーサービス

デリバリーサービスは、設備・体制作りが難しく、手を出せなかった飲食店も多いですが「Uber Eats」「出前館」「menu」など大手プラットフォームを活用することにより、人手の足りない飲食店でもデリバリーを始めることが容易になりました。

コロナ禍では外出自粛を控えるお客様が、手軽にお店の味を家で楽しめるようになり需要が大幅に高まりました。

MMD研究所が発表した「2020年インターネットでのフードデリバリーサービスに関する調査」によると、2019年の9月の調査ではフードデリバリーを利用したことがある人は29.9%だったのに対して、2020年7月の調査では46.4%にまで上がっているとのこと。新型コロナをきっかけに利用を始めた人が多いことがうかがえます。(出所:MMD研究所

集客サービス

集客サービス

これまで近隣地域に住んでいる顧客が中心で、認知度を高めるためには店頭の看板やポスティングが必要不可欠でした。

しかし、「食べログ」「Retty(レッティ)」「ぐるなび」「ホットペッパーグルメ」などのグルメサイトを使用することにより、遠方の顧客にも飲食店の営業情報や魅力を伝えることが出来るようになりました。グルメサイトでは多くの人が検索しているので、これまで来店しなかった層にもアピールができます。

InstagramやTwitterなどのSNSも同様です。SNSで拡散されることにより地方から人々が訪れて人気店になるなど集客には欠かせないツールとなっています。

このように身近に感じることのできるデジタルツールですが、DXという言葉を意識して導入した飲食店は少ないのではないでしょうか?

上記でご紹介したデジタルツールは、単体での定義としては「デジタイゼーション」「デジタライゼーション」にカテゴライズされるかもしれません。しかし、これらのデジタルツールを含めてビジネス全体を根底から大きく変革することにより「デジタルトランスフォーメーション」という概念になります。

コロナ禍で前年同月比増を達成したマクドナルドの取り組み

マクドナルド

2020年は飲食店にとって試練の年でした。新型コロナウイルスの感染拡大により多くの飲食店が大幅に売り上げが落ち、閉店や休業に追い込まれるお店も増え続けています。

しかし、そんなコロナ禍でも売り上げ増を達成した飲食店もあります。

その代表が世界最大手の飲食チェーンであるマクドナルドです。

日本全国の店舗(約2900)で 4月29日から5月14日の期間を店内客席の利用を終日中止したことにより客数は減少したにもかかわらず、既存店売上高が4月は前年同月比は6.5%増、5月は前年同月比15.2%増と伸びました。

これは空き時間にコーヒー飲みの注文など客単価の低い顧客の来店は減ってしまったが、家族全員が揃って家にいるというコロナ禍ならではのシチュエーションにおいて、テイクアウトやドライブスルーに注目が集まったことが読み取れます。

同チェーンはコロナウイルスの感染拡大前から、テイクアウトやドライブスルーに注力しており、注文専用アプリから注文・決済できる「マクドナルド モバイルオーダー」などの非接触注文導入や、自社サービス「マックデリバリー」と「UberEats」の活用によるデリバリーにも力を入れていました。

このようにデジタルツールを活用することにより、お客様にとって利便性が高い環境を築き上げてきた実績が、コロナ禍における売上増に繋がりました。

マクドナルドのDX対応への取り組み

モバイルオーダー

モバイルオーダー

来店前にスマホで注文&キャッシュレス決済を可能にする「モバイルオーダー」は、店舗で注文の列に並び、注文後に調理が出来上がるのを待つ必要もなく、来店と同時に出来立ての商品を受け取れる為、顧客にとって利便性の高いデジタルツールとして注目をされています。

「マクドナルド モバイルオーダー」がその最たる例として挙げられますが、全ての飲食店がマクドナルドという世界規模の企業と同レベルコストをかけて長期的な戦略を実行することは難しいことでしょう。

しかし、既に市場に広まっている「Uber Eats」「出前館」「menu」のような大手プラットフォームを使用することにより、「モバイルオーダーアプリ」に近いサービスを提供することが出来ます。

これらのプラットフォームは手軽に始められ、初期手数料は安価ですが、オーダーごとに手数料を差し引かれる為、ランニングコストが大きくなってしまうデメリットも存在します。

また、決められたレイアウト上でしか商品を並べることができないので、各飲食店のオリジナリティを表現する自由度が低くブランディングには向かないと考えられています。

手数料やブランディングが気になる場合は、低コストでオリジナルのモバイルオーダーアプリを作成出来るデジタルツールの導入を検討してもいいかもしれません。

モバイルオーダーを活用してお客様との接点作りに活かす

飲食店の魅力はただ美味しい料理を提供するだけでなく、常連さんとの日々の会話や、一期一会の出会いも大事な要素でしょう。

デジタル化と相性が悪い印象を持たれがちな「接客」という仕事においても、デジタルツールを活用することにより、これまで以上にお客様に寄り添う接客が可能となります。

来店時に顧客の購入履歴を見ることが出来れば、たまにしかお店に立たないようなアルバイトのスタッフでも、常連客かどうか判断することが出来るようになります。常連のお客様に対して「いつもありがとうございます」の一言があるだけで喜んでいただけるのではないでしょうか。

また、過去の注文履歴を活かしておすすめの料理を提案したり、前回注文された料理との違いを話すなど接点作りのツールとして活用出来ます。

これまでの接客はその場で対応したスタッフとお客様による「点の関係性」でしたが、注文履歴や趣味嗜好を理解することにより「線の関係性」を築くことが可能になります。

これまでのお店の魅力を0から作り直すのではなく、更なる自店の魅力を提供するためのツールとして活用出来るのではないでしょうか?

飲食業界がDX化する未来

ここからは飲食業界のDX化が進む先にどんな未来が待っているかを考えてみます。

AI(人工知能)を活用した顔認証システムにより、お客様の年齢、性別、表情を判定しておすすめの商品を提案することや、AI搭載ロボットによる座敷案内やメニュー紹介などの接客支援が、顧客満足度の向上や、人手不足の解消など飲食業界を変えていくと期待されています。

その先には、ロボットが調理から配膳を完結し、顔認証で支払いまで済ませる無人スタッフの飲食店も増えていくでしょう。しかし、導入に大きなコストがかかる為、まだイメージは難しいかもしれません。

もう少し近い未来に活躍が期待されているのが「デジタルメニューボード」と「品質チェック」です。

デジタルメニューボード

デジタルメニューボード

デジタルメニューボードを活用することにより、リアルタイムでの最適な提案を行えるようになると期待されています。

気温が下がったら体を温めるフードをプロモーションをする、暑い日にはアイスクリームなどの商品を目立つ位置に表示するなど、お客様が求めている商品を提案することにより売り上げUPが見込めます。

日ごとの気温や気候を考慮したプロモーションだけでなく、在庫状況を反映したプロモーションや、多店舗経営している飲食店では地域によっての傾向を考慮したプロモーションを行うなど、手書きのメニューボードでは簡単に対応できなかったリアルタイムでのアプローチが実現可能になるのは大きな魅力です。

品質チェック

品質チェック

これまで調理するスタッフの能力でバラツキが出やすかった料理の品質向上にもDX化は役立つと考えられます。

例えば、サーマル・ビジョンを活用して焼き加減のチェックすることで食中毒のリスクを減らし、商品の質を均一化することに繋がります。

また、AIカメラが正しい盛り付けを行えているかをチェックすることにより、盛り付けのミスを減らし、経験の少ないスタッフにも安心して調理を任せられるような未来が来るかもしれません。

飲食店におけるDXで重要なこと

飲食業界では、大きなコストをかけてDX化しなくても、従来通りの「アナログ対応で十分」という考え方が残っていたように感じます。しかし、コロナウイルスの感染拡大を通して、そういった中小規模の飲食店もDX化に舵を切る機会となりました。

その際に注意していただきたいのは、DX化に対応することが目的ではなく、顧客と繋がる接点を作ることや、顧客のニーズに答えることで、愛されるお店としてファンベースを築くことが重要ということです。あくまでDXは手段であり、目的が何なのかを見失わないよう注意してください。

DXを採用する為に「人の与える安心感」や、「日々のコミュニケーション」等、これまでの自店の魅力を捨てる必要はありません。

自店の魅力を再確認することや、長期的なビジョンを考えるための大事な時期だからこそ、DXの導入を検討してみてはいかがでしょうか?

飲食店のDXに興味がある方は、是非とも我々にお問い合わせください。

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一言でDXといっても多数の技術要素が絡み合います。
ツールの選定から開発運用までIT部門以外の各部門との調整も多いです。

これまでのシステム開発と同じではないことを私たちは経験しています。

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