企業のDX推進が重要視されている昨今。
様々な企業のIT化・デジタル化が加速していますが、具体的にどのような改革を行っているのでしょうか?
今回は、各企業のDX化の指標となる「DX銘柄」に選定された企業の事例を基に、どのようなDX推進がなされているのかを解説します。
これから自社でDX推進におけるビジネスモデルの改革や、ITツールの導入を検討される方にとって、参考になる内容となっています。
DX銘柄2021とは?
東京証券取引所に上場している企業の中から業種ごとに最大1~2社ずつ選定して紹介する「DX銘柄」。
経済産業省が東京証券取引所と共同で発表しているもので、企業価値の向上につながるDXを推進するための仕組みを社内に構築し、優れたデジタル活用の実績が表れている企業が選定されます。
通常の「DX銘柄」の他に、以下のような選定もあります。
・DXグランプリ:DX銘柄に選定された企業の中で、特に優れた取り組みを行った企業
・DX注目企業:DX銘柄に選定されていない企業の中で特に企業価値貢献部分において、注目されるべき取り組みを実施している企業
DX銘柄の評価基準
DX銘柄は、各企業のアンケート調査による回答を基準に選定されます。
評価項目や選定基準は以下の通りです。
評価項目 |
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経営ビジョン・ビジネスモデル |
戦略 ・戦略実現のための組織・制度等 ・戦略実現のためのデジタル技術の活用・情報システム |
成果と重要な成果指標の共有 |
ガバナンス |
選定基準 |
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アンケート調査回答・ROEのスコアが一定基準以上であること |
評価委員会において、取り組みについて高い評価を得たこと |
重大な法令違反等がないこと |
DX銘柄2021選定企業一覧
DX銘柄やDX注目企業の一覧を見ると、相対的に企業規模が大きいことがわかります。
また、DX銘柄に選定された企業は、ビジョン実現のために構築していることがわかる具体的な戦略を、ビジネスモデルとして構築しているという特徴があります。
他にも、DX関連の情報発信やコミュニケーションが活発な傾向にあるという共通点も多く見受けられます。
DX銘柄2021でグランプリに輝いた企業2社
DX銘柄2021の中で、特に優れた取り組みを行った企業として選定された2社では、どのような取り組みが行われているのでしょうか。
実際に、DX銘柄2021レポートで発表されている事例を基に紹介します。
株式会社日立製作所
洗濯機や冷蔵庫などの家電「HITACHI」ブランドとしてお馴染みの株式会社日立製作所。
「優れた自主技術・製品の開発を通じて社会に貢献する」という企業理念の基、IT・エネルギー・モビリティなどの分野でも様々な事業を展開しています。
DX推進における取り組み(株式会社日立製作所)
IT分野で「Lumada」事業を展開。デジタル社会による社会イノベーションを実現するために立ち上げられたプロジェクトで、以下の3つの軸で活動を行っています。
1.お客さま・パートナー(調査機関、大学・研究機関等)との協創
2.業種・業務ノウハウ
3.プラットフォーム製品とテクノロジー
長年培ってきたOT(制御・運用技術)とITのノウハウを融合させ、お客さまや様々なパートナーを繋ぎ合わせることによって、新たな価値を生み出しています。
DX推進における事例(株式会社日立製作所)
世界の先進工場「Lighthouse」に選出された大みか事業所では、製品の設計・開発・運用保守にわたるバリューチェーン全体をデジタルで最適化。
工場の「見える化→分析→対策」という循環システムを策定し、その成果を運用効率最適化や製品の故障予兆検知などのソリューションとしてLumadaに集約し、パッケージで提供しています。
DX銘柄審査員からは、「Lumadaが国内から海外に展開できるプラットフォームになる可能性がある」と高い評価を得ています。
SREホールディングス株式会社
ソニーグループ発の企業である「SREホールディングス株式会社」。
「10年後の当たり前」を造るという目的の基、不動産業界や金融機関向けの表む支援型クラウドサービスを提供しています。
DX推進への取り組み、事例(SREホールディングス株式会社)
自社不動産事業における「AI不動産査定ツール」や「不動産売買契約書類作成クラウド」などのツールを開発。
不動産メンバーとエンジニアが、現場からマネジメントレベルまでアウトプットできる仕組み作りに成功しています。
DX銘柄審査員からは、「破壊的なビジネスモデル」などと評価されています。
DX銘柄2021で2年連続選定された企業3社
DX銘柄2021に選定された企業は、全28社。
今回はその中で、2年連続で選定されている企業の中から3社のDXにおける取り組みと事例を紹介します。
実際に、DX銘柄2021レポートで発表されている事例を基に紹介します。
アサヒグループホールディングス株式会社
カルピスや三ツ矢サイダーなどの飲料水でお馴染みの「アサヒグループホールディングス株式会社」。
MINTIAやクリーム玄米ブランなどの食品事業にも力を入れています。
DX推進への取り組み(アサヒグループホールディングス株式会社)
アサヒグループは、「高付加価値ブランドを核として成長する”グローカルな価値創造企業”」の実現に向けて、以下の2つの軸でDXを推進させています。
1.DXで、飲食をコアにValueを創る~Food as a Service構想~
2.ValueCreation人材(DX人材)を育成
実際には、独自に定義したデータ分析の基礎スキルを全社員が修得することでDXにおける人材育成を図っています。
また、データ分析組織の立ち上げやデータ基盤を構築することにより、グループ顧客データ分析基盤を最適化するなどの取り組みも行っています。
株式会社ブリヂストン
自動車や自転車、二輪車のタイヤメーカーとして有名な「株式会社ブリヂストン」。
ITツールを組み合わせ、運送や農機、建築業などの課題解決サポートや製品提案なども行っています。
DX推進への取り組み、事例(株式会社ブリヂストン)
「2050年、サステナブルなソリューションカンパニーとして、社会価値・顧客価値を持続的に提供する会社へ」というビジョンを実現すべく、以下のような取り組みを個なっています。
1.高度設計趣味レーションを活用した断トツ新商品「MasterCore」の開発
2.鉱山ソリューション
株式会社ブリヂストンの事業の一つである鉱山車両のオペレーション。
お客さまや鉱山現場ごとに異なる走行ルートなどに合わせて、タイヤの性能を設計するため、高度設計趣味レーションを活用しました。
これにより、様々なニーズに合わせて耐久性や許容荷重などを提供できる、高機能や鉱山・建設車両用タイヤ「MasterCore」の開発に成功しています。
清水建設株式会社
オフィスや学校、トンネル、ダムなど設計・施工する建築事業や土木事業などで有名な「清水建設株式会社」。
新エネルギーなどの分野に取り組む「エンジニアリング事業」や、海洋開発事業などを手掛ける「フロンティア事業」など、非建築事業も行っています。
DX推進への取り組み、事例(清水建設株式会社)
「デジタルプラットフォームの活用によるビジネスモデルやワークスタイル変革をグループ全体で実現する」というデジタル戦略の基、自社自らを「デジタルゼネコン」のトップランナーと定義し、以下のような取り組みを行っています。
1.デジタルな空間・サービスの提供
2.建物OS「DX-Core」の商品化
3.事業・社会への貢献
建物運用デジタル化プラットフォーム機能を備えた「DX-Core」。
建物内の建築設備やIoTデバイス、各種アプリケーションの相互連携が容易にできるようになる基本ソフトウェアで、年内実装を目標に開発が進められています。
まとめ
今回は、DX銘柄2021に選定された企業5社と、それぞれのDX推進における取り組みについて紹介しました。
選定された企業の取り組みから、これまでに培ってきた技術やノウハウを活かしたシステムの開発や、人材の育成、今後の社会に与えられる影響度などが評価されていると推察されます。
今回ご紹介した企業の取り組みを参考に、自社に合ったDXにおける取り組みを行ってみてはいかがでしょうか。