DX推進に活用できるシステム開発(API編)

昨今、グローバル市場での競争力を強化するにあたり、最新のデジタル技術を活用して業務・経営の改革を行うデジタル・トランスフォーメーション(=DX)の必要性が謳われています。DXの実現においては、情報システムやデジタルサービスを迅速かつ柔軟に構築していくことが重要であり、API(Application Programming Interface)が大きな役割を果たしているということで注目を浴びております。

2018年9月に経済産業省がリリースした「DX(Digital Transformation)レポート ~ITシステム『20205年の崖』の克服とDXの本格的な展開~」においても、DX時代の業務改革やIT変革のためのカギのひとつとしてAPIが挙げられていることからも、その重要性はますます高まっていると言えます。

本記事では、DX推進のためのシステム開発において、APIをどのように活用できるかについて事例を交えて解説していきます。

APIとは

APIは「Application Programing Interface」の頭文字を取った略語で、アプリケーションとプログラムをつなぐものを指します。APIの機能を利用することで、あるアプリケーションから他アプリケーションのプログラムを呼び出すことでアプリケーション同士をつなぎ、データのやり取りを容易に行うことができます。

また、ソフトウェアの一部を外部に向けてWeb上で公開することで、他のアプリケーションと機能を共有したり拡張したりすることもできます。昨今では膨大な種類のAPIがWeb上で公開されており、その中には利用者を問わず無料で使用できるものも多く、多くのサービスに活用されています。

API活用のメリット

本節では、自社でシステムを構築する場合において、外部で公開されているAPIを活用するメリットを紹介します。

API活用のメリット1:開発コスト・期間の削減

システム開発において、外部のAPIを活用することで、自社で一からプログラムを開発する必要がありません。そのため、システム開発のコストを抑えることができ、工期を縮めて短期間でシステムを開発することができます。

API活用のメリット2:業務プロセスの効率化・ガバナンス強化

外部サービスのAPI連携は業務プロセスの効率化にもつながります。特に伝統的な日本企業において基幹業務システムは営業システムや会計システムといった形で部門ごとに縦割りで構築されているケースが多いです。部門間での情報の受け渡しに人の手が介在する場合、ミスや不正、遅延が発生してしまいます。また、自動連携されていたとしても日次や月次といった定期のファイルインターフェースで実現している場合、リアルタイムで情報の受け渡しができなかったり、障害発生時のリカバリに手間がかかったりします。このようなシステム間でのデータの受け渡しにおいて、APIを活用した場合、安全かつリアルタイムでの受け渡しが実現できるので、業務効率の向上や不正防止につながります。

また、外部システムのAPIを活用することで部門業務そのものをアウトソースしさらなる効率化が実現できます。これをうまく活用しているのが後述の「airCloset」の事例となります。

API活用のメリット3:他社データ利用により新規ビジネスの創出につながる

APIによる他社が有するデータやアプリケーション機能の活用は、開発コストの削減や業務プロセスの効率化だけでなく、新規ビジネスの創出にもつながります。様々な事業者が提供するAPIを組み合わせて新たなサービスや価値を生み出すことを「APIエコノミー」と呼ばれ、昨今ではグローバルで企業間の協業がなされています。

例えば、カーナビの地図情報は、Googleやゼンリン等が公開している地図情報APIをカーナビ内に組み込まれたプログラムから呼び出して取得しております。自社の強みと他社の強みを組み合わせることで自社だけでは作れない画期的なサービスを創造し、収益につなげることができます。

API活用事例

昨今ではAPIを活用し前節のメリットを享受している事例を紹介いたします。

API活用事例1:Concur×出張なび ~経費精算システムからの連携による出張管理効率化~

「Concur(コンカー)」は、ERPパッケージの世界シェアNo.1を誇るSAP社が提供するSaaS型の経費精算アプリです。従来の経費精算アプリでは、手元の領収書をもとに日付や金額などの情報を逐一入力して精算するものでした。しかし、Concurでは日本旅行が提供するチケット予約サービスである「出張なび」とAPI連携しているため、Concur上から新幹線・航空券・宿泊先のチケット予約ができ、かつ予約内容をそのまま経費申請に反映できるので、ユーザが日付や金額などを入力する手間が省けます。

Concurは既成のパッケージ製品ではありますが、基幹業務システムと外部WebサービスをAPI連携することで、ユーザの業務効率化を実現できるものと言えるでしょう。

API活用事例2:airCloset×Minikura 〜アパレル業界での新サービス創出&物流・倉庫管理プロセスのアウトソーシング実現〜

「airCloset(エアークローゼット)」は、2015年から開始された月額制のファッションレンタルサービスで、2021年現在会員数45万人を突破しています。従来は、ウェディングドレスや和装といった特殊な衣装が店舗で貸し出されているのが一般的でしたが、普段着をWebサイトからレンタルできるサービスは当時のアパレル業界としては画期的なものでした。そして、airClosetの物流・倉庫管理プロセスのオペレーションを担っているのが寺田倉庫のクラウドストレージサービス「Minikura(ミニクラ)」であり、API経由で注文情報や在庫情報のやり取りを行い、スムーズなサービス提供を実現できています。Minikuraはアパレル業界特有の在庫管理要件である「色」や「サイズ」に加え、レンタルサービスで重要となる「品質状態」や「貸出状況」といった情報の管理に対応できることから、airClosetのサービスを実現するにおいて不可欠であったと言えます。

まさにAPI活用により、自社の強みと他社の強みを組み合わせて画期的なサービスを創出し、かつ物流・倉庫管理の業務プロセスを円滑にアウトソーシングできている事例と言えるでしょう。

これからのAPIの動向

昨今、各企業が有する様々な情報やサービスがAPIとして公開されており、グローバルレベルでの協業がなされております。実際、日本においては金融業界でFintech関連の法改正が年々進んでいることからも、国を挙げてAPIエコノミーの推進を加速させていく流れが予想されます。このような中、グローバルでの競争力を強化していくにあたっては、APIを単にシステム開発を効率化する手段としてとらえるのではなく、ビジネスプロセスの改革や新サービスの創出といった、ビジネス視点から戦略的に活用していくことが重要となります。

また、他社のAPIを活用するだけでなく、自社の情報や機能をAPIとして外部公開することも、直接的な収益獲得、自社宣伝、販売チャネル拡大、新ビジネス創出においては有効となります。特に新ビジネス創出においては、現時点ではアイデアが挙がっていなかったとしても、まずはAPI公開を行うことにより、外部からコラボレーションによる新しいアイデアを得られるような機会を得られますし、間接的には自社の宣伝にもつながります。

従って、APIについては、ビジネス視点で活用・公開の両方面でアプローチしていくことが、グローバル競争力を高めるうえで非常に重要であると言えるでしょう。

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