マクドナルドのDX対応への取り組み

マクドナルドの掲げるDX強化計画

現在世界中の大手飲食チェーンはAIを含むデジタルテクノロジーの活用に注力しています。

その代表が全世界120か国以上に3万6000店舗を展開する世界最大手の飲食チェーンであるマクドナルドです。

マクドナルドは2017年に「Velocity Growth Plan」と銘打ったDX強化計画を、次の6つをテーマに掲げて、策定しました。

Retain(既存顧客の保持)
Regain(失った顧客の再獲得)
Convert(顧客のリピート顧客化)
Digital(顧客体験のデジタル化)
Delivery(マクドナルドでの体験をより多くの顧客に)
Experience of the Future in the U.S. (テクノロジーの力で未来の体験を顧客に)

マクドナルドは上記テーマの中でも特にAI(人工知能)の活用を推進しています。

2019年3月25日に、買収額は3億ドル(約330億円)とも言われているほどの巨費を投じてAIを利用して顧客別にパーソナライゼーション(個人化)を提供する巨大スタートアップ企業「ダイナミック・イールド(Dynamic Yield)」を買収しました。買収額の3億ドルはマクドナルドほどの企業にとっても過去20年間での最大規模の投資と言われており、如何に力を入れているかが伺えます。

AIがパーソナライズしたメニュー提案することにより、顧客の利便性の向上させることはもちろんのこと、ドライブスルーを訪れる顧客のデータを分析することで、データを資産化し活用することが可能です。この技術は既にアメリカとオーストラリアのほぼすべてのドライブスルー店舗に導入されています。

さらに同年9月10日には、多言語での音声注文を可能とする対話ベースで自動注文できる技術を開発するスタートアップ企業「アプレンテ(Apprente)」の買収を発表しました。

より早く、より簡単に、より正確にオーダーをとることを目的とし、将来的にはドライブスルーのみならず、モバイルオーダーシステムや、セルフオーダーキオスクでの活用も期待されています。

セルフオーダーキオスク

セルフオーダーキオスク

日本だと体験する機会が少ないですが、海外のマクドナルドではキオスクと呼ばれるタッチパネル式のセルフオーダー端末が何台も設置されています。

店舗によって、セルフオーダーキオスクをレジ併用している店舗もありますが、セルフオーダーキオスクの設置のみでレジを併設していない店舗も増えています。

セルフオーダーキオスクの使い方を簡単に紹介すると、「店内飲食」か「テイクアウト」を選択し、商品を選んで、クレジットカードや電子マネーで決済を行い、注文番号の記載されたレシートを受け取ります。あとは、受取口に設置されているディスプレイにレシートに記載された注文番号を確認して出来上がったら受け取るのみです。

セルフオーダーキオスクの導入により、お客様はレジに並ぶ必要がなくなり、注文ミスもなくなります。企業側としても、人件費の削減はもちろん、これまでレジ対応時に従業員の判断で入力していた年代性別等のざっくりしたデータが、顧客行動に関する詳細なデータを撮り溜められるようになり、今後の購買パターンの予測に活用することが可能となるなどメリットは多いです。

飲食店を運営において大きな鍵となる食材の破棄を減らしたり、売り切れのリスクを減らすためにもデータでの予測精度が上がれば在庫管理の質も向上するでしょう。

また、メニューの表示に関してもこれまでは紙ベースで変更をしなければいけなかったため手間と時間がかかってしまっていましたが「セルフオーダーキオスク」や「デジタルメニューボード」を活用することにより、スピーディーかつ柔軟な対応が可能になります。

実際に既に本格運用が進んでいる米・マクドナルドは、セルフオーダーキオスクを導入した店舗の売上が予想を超えて伸びていることを発表していますが、注文スピードが速まり、回転率が上がると同時にメニューの選定をじっくり行えることによる注文の平均価格が高くなったことが要因のようです。

セルフオーダーキオスクはすでに世界で約1万4000台設置されており、アメリカ以外のイギリス、スペイン、フランス、イタリアなどの欧米諸国、そして日本よりもキャッシュレス化の進んでいる中国や韓国でも展開されていますが、日本での導入は非常に遅れています。

日本でもセルフオーダーキオスクの導入に関しては実験的に進められてきましたが、当時の運用ではクレジットカードやキャッシュカードが使えず、一部の流通系電子マネーのみということで利便性を実感するに足らなかったようです。その影響を受けてか、日本ではモバイルオーダーの活用に力を入れる方針に舵を切りました。

モバイルオーダー

モバイルオーダー

セルフオーダーキオスクの本格運用が見送られ、モバイルオーダーの普及に力を入れた日本市場ですが、結果的に大当たりだったかもしれません。

コロナ禍においてマクドナルドが売り上げを伸ばした要因の一つとしてモバイルオーダーが注目を浴びることになりました。入店後に注文をするセルフオーダーキオスクに比べ、モバイルオーダーは入店前の注文が可能なため、待ち時間ゼロで受け取れるのはコロナ禍において密を避けるためには良いツールと受け止められています。

モバイルオーダーの使い方は端末がスマートフォンであること以外はセルフオーダーキオスクと近い仕様ですが、アプリをダウンロードして会員登録が必要になります。GPS機能や検索機能で利用したい店舗を選択後に、「テイクアウト」か「店内飲食」のどちらかを選択し、商品を選んで決済を行うのみです。出来上がり次第、通知が届くので、受取口に設置されているディスプレイで注文番号を確認して出来上がったら受け取るのみです。一部の店舗では席で商品を受取ることも可能です。

MMD研究所の発表によると、モバイルオーダーの利用経験のあるユーザーの85.1%が満足&やや満足と回答したのに対して、不満&やや不満は2.0%のみでした。現在利用しているユーザーの割合は13.3%と低いですがモバイルオーダーの認知度は50%を上回ることからもこれから伸びていくと考えられます。ユーザーが利便性を感じればアフターコロナの世界でも廃れずに利用者を伸ばしていくでしょう。

モバイルオーダーのサービス名認知度・利用状況でも上記調査データのトップに輝いたマクドナルドが、今後モバイルオーダーを普及させていく中心企業になりそうです。

(出所:MMD研究所

品質管理

品質管理

マクドナルドは品質管理の分野でもIT技術を活用しています。

バンズ製造の過程に自動検査を導入することで、手作業のプロセスを上回る効率を実現。1分間に1000個以上のバンズの形状や、色、胡麻の分布を検査し、自動的かつ継続的に調整を行うことにより、品質の向上と、手作業による人件費や、食材の破棄が削減されています。

飲食業界のDX推進と雇用市場への影響

北京のKFCはバイドゥと連携し、セルフオーダー端末に顔認証技術を組み込み、年齢や性別だけでなく顧客の気分までも考慮して好みそうなメニューを予測するサービスの開始や、スターバックスはアリババと提携し自立型フードデリバリーサービスを発表しました。マクドナルドのみならず、飲食業界でもDX化の流れが加速しています。

こうしたDX化の流れは人間を機械に代えようとする大企業の姿勢が如実に反映されていると考えられます。

マクドナルドは、仕事の内容が機械と重複するレジ係は店舗の顧客サービスを中心としたほかの職種に配置換えされるなど、人間のスタッフをロボットに代えるつもりはないという姿勢をとっていますが、AIによる自動化が雇用市場においてどのような影響をもたらすかは依然として不透明な状況です。

まとめ

全ての飲食店が今回紹介したマクドナルドのようなDXへの投資を行えるわけではありません。しかし、マクドナルドの目指すDX化の流れが全く関係ないものとは言い切れないでしょう。

ウーバーイーツなども最初はITリテラシーの高い一部の人のみが利用していましたが、徐々に利用者数を増やし、今では多くの多くの人が役立つITツールとして使用しています。

マクドナルドという世界最大手の飲食チェーンを通して、顧客のデジタル体験が飛躍的に進歩することを理解しなければなりません。マクドナルドでのITツールの利用をきっかけに利便性を体感することにより、顧客の価値観も変化していきます。

大手企業を参考に飲食業界のDX化について、正しい規模の投資と、最適な活用法を考えてみてはいかがでしょうか?

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一言でDXといっても多数の技術要素が絡み合います。
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